社員が継続して働けるような
理想の会社の実現を目指して。

株式会社ウィローズ(東京都品川区)

代表取締役朝倉大樹様

加盟年月:2012年3月

一番厳しい業界である不動産業界に飛び込む

出身は石川県金沢市で、大学進学を機に上京しました。大学は教員養成のための大学で、同期の9割以上は教員になっています。私も教育実習をやり教員の免許も持っているのですが、いざ就職をする時期になったとき、そのまま教師になるのは何か公務員的で先が見えている仕事という感じがして、やりがいを見出すことができませんでした。

そこで、自分の力でどれだけ評価されるか力試しをしたいと思い、世間でいちばん厳しそうな業界ということで不動産業界を選びました。不動産業界の特に営業職は、労働時間も長く土日も休みではありません。教員は社会人を経験し30歳くらいでなるのも悪くないと思っていたので、不動産業界に挑戦して結果が出なかったら戻ればいいと考えていました。

就職活動では大手財閥系の不動産販売会社で最終面接まで進み、直前の人事部長面談で「君はもう絶対内定だから形式的だけど最終面接に来て」と言われていました。しかし結果は不採用。その時に感じたのは、このドロドロとした人間関係と二枚舌の責任者がいるような会社で、もしかしたら働くことになっていたかもしれないということです。

並行して受けていたセンチュリー21スミカ・クリエイト(東京都目黒区)でも、最終面接の前に人事面談があり、まったく同じようなことを言われて最終面接に臨みました。こちらは最終面接で雑談に終始し、結果無事内定をいただくことができ、この会社はウソがないと思い入社を決めました。

1年目は入社したその年の秋のセールスラリーで、3,000万円くらい業績を上げることができました。東京で1位を獲得し、新人賞も受賞しました。2年目は、正確には覚えていませんが9,000万円くらい売上を上げて全国個人の部で8位か9位で個人センチュリオンを受賞しました。ここまで業績が良かったのは、私の実力というより当時の上司の方や物件力だと思います。

3年目はプレイヤーと管理職を兼務していて、それでも個人業績は5,000万円くらいだったと思います。4年目以降は管理職専任になり、6〜7年目くらいの時に同社の取締役に就任いたしました。

このまま同社で経営メンバーとして携わることもできたのですが、そのうち自分の理想とする会社を完全には実現することはできないと考えるようになり退職を決意しました。これが34歳の時です。


チームプレイを浸透させ、助け合いの文化を築く

最初の店舗は武蔵小山の駅前で9坪のテナントです。独立と同時にセンチュリー21に加盟しました。独立当初のメンバーは私と今の武田専務の2人です。創業後の1年目のある月に資金が尽き給料が取れないこともありましたが、おかげさまで会社としては現在まで黒字経営を続けています。業績も比較的順調に成長していると思います。

社内の体制としては、現在37名の社員がおり、営業は25名程です。
雰囲気としてはチームプレーが浸透していると思います。経験の浅い人が多い分、会社の理念やビジョンに基づき助けあって仕事をするような風土はできつつあると思います。

実は新卒1期生は2人いたのですが、私が意気込んで指導をした結果、2人とも半年くらいで退職してしまったという経験があります。意気込みが空回りし感情的な指導があったことも原因のひとつではないかと思っています。

それ以来、自分の指導は時代遅れだと考えるようになり教育にはあまりタッチしていません。今は「優しいおじさん」的な立ち位置で働きやすい雰囲気を作るように心掛け、社員の育成については、直属の上司である管理職に任せています。管理職でも新卒から上がってきたメンバーが多く、感情的に怒ることも少なく指導が丁寧で、非常に優秀な社員が多いです。今の若者向きだと思います。


さまざまな独自施法で社員の働きやすさを追求

他社にない工夫としては、宅建取得に関して未取得者には8月末に社内試験を実施し、30点を取れた人は試験前1ヵ月間休みにしています。もちろんその間の給料は出します。過去、宅建に関していろいろな制度を模索しましたが、今の制度にしてから、休みを取得した者はほとんどその年に合格しています。

この制度を作ったのは私自身宅建に受かるまで10年くらいかかり、毎年試験の時期が来ると、仕事の合間を縫って勉強して落ちることを繰り返してきたという経験に基づいたものです。どうせ勉強するならまとめて勉強してさっさと合格した方が効率的だと考えました。宅建自体は質の高い接客をするためには必要な資格で、受験自体は営業は全員義務付けをしています。

自動車は社内で半期トップを取ると、1人1台支給して通勤にも使ってもらっています。駐車場代は、会社の方はもちろん自宅近くの駐車場代も会社で負担し、ガソリン代は個人使用で使った分も含め会社が払っています。これは福利厚生の一環でもありますが、特に家族がいる社員の場合、退職したら車がなくなってしまうので、会社を辞めづらくする効果もこっそり狙っています。

待遇面については、労働時間は10〜19時で基本給にはみなし残業時間が30時間分含まれています。20時台には帰っている社員が多いですが、中には22時近くまで頑張っている社員もいます。会社から強制されることはありません。

休暇は完全週休二日制で火・水が休みです。ゴールデンウイークや夏季休暇、年末年始休暇は長く取っています。数えてみたら昨年は年間休日が122日ありました。

休日出勤に関しては振替休日を取るように言っています。どうしても出社したがる社員はいるので無理矢理にはできませんが、何度も休むように言って文化的に浸透させる努力はしています。

有給休暇に関しても、普通に取得するよう言っており、運動会などの学校行事が土曜日とかであっても取ってもらって構いません。そもそも休む理由も聞いていません。それ以外は毎年6月頃、全社員で社員旅行に行っています。コロナ渦前はハワイに4泊6日で行きました。参加は社員だけでなく家族の参加もOKです。費用は家族の分も含めて全額会社負担です。現地の行動は基本的に自由ですが、生存確認的な意味で夕食は一緒にしています。その費用も当然会社が負担しています。

あとは月に1度飲み会をやっているのですが、会社の達成度に応じて飲み会の場所を変えています。予算を達成したら焼肉とか寿司とか、ダメだったらチェーン店の居酒屋とか(笑)。それでも十分美味しいんですけど。予算が達成するかギリギリの時は店の予約をどうするか判断が難しいです。これもほぼ全社員が出席しています。

私は社員全員の誕生日を把握しているのですが、その飲み会の時に誕生日の社員にはプレゼントを渡しています。ネクタイとかレーザー式メジャーとか名前入りボールペンとか、基本的には仕事で使えそうなものですが、髭が濃い社員には髭剃りをあげたこともあります。値段は5,000円から1万円くらいでしょうか。


退職者を出さないことが成長の鍵

こうした取り組みの多くは、昨今の「働き方改革」の影響を受けてはじめたことではなく、独立当初から思い描いていたことを実践しているので創業時からずっと続けていることです。

それらの効果もあってか離職率は低く、先ほど話した新卒の1期生の2人が退職して以降、新卒が7期生まで6年間入社していますが、全体の離職率は16%で、ここ3年に限っては6.6%です。冒頭に申し上げた通り一人当たりの業績は課題ですが、これは長期的な視点で成長をしてくれるだろうという先行投資だと捉えています。スピードの違いには個人差がありますが、成長しない社員はいないと思っています。

こういう施策ができるのも、共同経営者の武田専務が同じ目線で会社の将来を考え、利益貢献をしてくれているからで、無くてはならない存在です。
退職者を出さないことが大事だと思っていますが、結果的には離職率はとても低くなっています。退職者がでることで次の採用コストがかかるというデメリットはもちろんありますが、それ以上にお客様の紹介が途切れてしまうというマイナスがあると考えています。

お客様が何かの理由で連絡をしてきたときに担当した社員が退職をしていたら、そのお客様から紹介案件が発生することは難しくなります。しかし、社員が在籍さえしていれば、仮に営業から外れていたとしても紹介に繋がることはあります。

社員の退職は、募集広告費、教育することのコスト、理念浸透が非効率など、多くの人が想像するよりもマイナスが多いと考えており、まずはそうならないような体制を構築し、その上で紹介案件を増やしていくようなしっかりした対応をしていくことが重要だと思います。

昨今のお客様の傾向としては、不動産会社を通じて物件を選ぶという感じではなくなってきているように考えています。

物件情報に関してはインターネットにすべて載っていますので、それを自分で調べてから来店します。その上で、お客様はしっかりした営業マンを選んで購入されます。不動産の知識や時事問題に対する考え方など不動産の営業マンとしてのみならず、一社会人として当然持ち合わせているべき常識や能力を判断し取引をされたいと望んでいると感じています。

その一方で、未公開物件など自分の理想とする物件をただ求め、営業マンの質をそれ程気にしないというタイプのお客様も存在しています。当然、会社としてのそのどちらのタイプのお客様にも対応できるようにしていく必要があると考えています。

当社の場合、ご紹介案件が非常に多いという特徴があるのですが、先ほどの話のうち前者のタイプの方はきちんとやるべきことをやって、ご満足いただければ紹介に繋がりやすいと考えており、そのためには社員が退職せずに継続して働ける環境作りが必要だと思っています。


同じ考え方で仕事に取り組む仲間を増やしていきたい

今後の目標としましては業績的には東京でトップの店舗を狙えるように頑張っています。
私自身が上場とか大金持ちになりたいというような野望のようなものはあまりありません。会社なのでそれなりの売上や利益は必要なのですが、それをクリアすることを前提として、同じ考え方で仕事に取り組む仲間を増やしていきたいと考えています。


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